わたしの読書史(2021/05/05)

今でこそこんなに読書をするようになったが、いつから読むようになったのだろうか。

思い出しながら書いてみたい。

 

まずはっきりと思い出される本との出会いは、小学三年生のころ、田舎から都会の小学校に転校し、寂しさと学校になれるのに必死で、本が好きなふりをしていたこと。

休み時間に何をしていいかわからず、辛くなって泣き出しそうになる前に、本を読んで時間を潰す。毎日の辛さをしのぐ、唯一の手段だった。

私にできた、転校後の初めての友達だった。

 

2ヶ月もすると、小学校のミニバスケットボールクラブに入部させられることになる。

これも本当に辛くて、小学校を卒業するまで一度も楽しいと感じたことはなかった。

 

ただ、寂しさをしのぐことにはつながったのかもしれない。

 

話を戻そう。

 

そんなある日、読書感想文を提出する課題が出た。

当時私が選んだ本は「ガリバー旅行記」で、小学三年生で、寂しさのごまかしのために選ぶ本ではないのだが、ジブリ天空の城ラピュタでパズーが言っているのを聞いてちょうど読んでいた。もちろん難しい内容ではなく、小学生が読めるような伝記本の、さらに一部分だけの物語で、今なら五分くらいで読めてしまうと思う。

 

ともかく私はそれで、放課後先生に呼び出されるくらいには感想文を仕上げ、転校後、覚えている限りでは初めての自己実現だった。

 

その後にハマったのは、「デルトラ・クエスト」と「ハリーポッター」だ。ハリーポッターはちょうど世代ぴったしで、中学生になるまで毎年新作が出ていたので、親にお金をもらって近くの本屋に買いに行っていたことを覚えている。

紛れもなく、その後の人生で影響を受けたものだと思う。

 

その後、高校を卒業するまでの間は、何を読んでいたかをうまく思い出せない。

ここで5分悩んだがまったく思い出せないので、諦めて次に行くとする。たぶん児童文学だろう。

(追記;思い出した、推理小説や怪盗クイーンシリーズだ。青い鳥文庫は私の心の肥料だ)

 

大学に入ってからは、文化、アートへの理解を深めていくことになる。

 

まず読んだのは、上橋菜穂子の「獣の奏者」である。

これは本当に美しい物語で、今読んでも楽しめると思うし、当時の人生観にも影響を与えたと思う。

その繋がりで「鹿の王」を読み、完全な上橋菜穂子ファンとなる。(精霊の守り人シリーズは未読であるが)

 

その後、本って面白いんじゃないかと思って、カッコつけて色々読み始める。

蟹工船」、「潮騒」、「スタンドバイミー」、今読んでも難しい本ばかり読んでいた。

そしてその後に読んだ、「ノルウェイの森」で少しだけ人生が変わり始める。

 

村上春樹はそれしか読んでいないが、当時はそこそこだなあ、と思っていた記憶がある。

(あんなに名作なのに、もう一回読みたいなあ。「人間は一つになれない」ことを描いた話である。)

ただ、主人公が読んでいる「グレート・ギャツビー」は、次に読もうと買った本であり、私がその本から受けている影響はこのブログで何回も書いたとおりである。

アメリカ文学との出会いだ。

 

その話は散々語っているので、もう一つ語るべきストーリーラインに移ろう。

江國香織ミラン・クンデラだ。

 

江国香織は、当時SNSでフォローしていた有名アカウントがつぶやいていた本、私の人生観に多大な影響を与えた「ウエハースの椅子」が最初の本である。

この本のせいで性格が暗くなった気がする。

江国香織はかなり読んだが、最初がこの本でなければ、江国香織ファンだということを表明することはなかったと思う。

 

初めて、本を読んで、脳みそを殴られたような感覚に陥った。

読書にのめり込むきっかけになった本である。

今読んでも、平気でメンタルを持っていくので気をつけている。

 

その後、好きな写真家が言っていたのが、「存在の耐えられない軽さ」、ミラン・クンデラである。

グレート・ギャツビーとスタンドバイミーで海外文学の挫折を味わった私は(ハリーポッターは読んでいたけど)、どうしても読もうという気持ちにならなかった。加えて当時は、ストーリーよりも文章だけが目的で読書を繰り返していたので、そんな認識の狭さをぶち壊してくれた素晴らしい作品でもある。

この本の最初の2ページを理解するのに、3日は必要だった。

その3ページだけで、「ウエハースの椅子」と同等の衝撃があった。

 

脳は活性化し、興奮状態に陥っていて、アドレナリンの分泌を感じた。

 

今尚、私の人生に影響を与えた本として、トップの座に君臨するものである。

生涯読み返すと思っている。

 

 

ここまで振り返ってみれば、何気なく読んだ村上春樹や、たまたまみていたSNSで、素晴らしい作品に出会うきっかけとなったのだから、何が起こるかわからない。

どんどん読み続けたいと思う。