例えばふと微笑んでしまう瞬間

ふと微笑んでしまう瞬間、その一瞬、世界は急に色づいたものになると思う。

 

行きつけの温泉、20円で2分使えるドライヤー。

 

バンドマンでもない限り、男は多分2分もいらない。

それは大抵、1分30秒程度で終わって、残り30秒くらいを持て余して終わる。

 

その30秒を如何に使うか、それはあなたの心に委ねられる。

冷風にして髪をセットするのもよいし、そのまま電源を切って立ち去るのもあなたの自由だ。自由とはすなわち、選択することができるということなのだろう。

 

私の前に髪を乾かしていた男は、乾かし終わったその後、その残りの30秒を次に使う人、つまり私に譲るという選択をした。

良い男だ。いくら自由といえども大抵の人間は電源を切り、自分の髪だけ乾かしてしまえばそれで終わりである。そんな中、彼は「これ使って良いっすよ!」などと発言し、しっかりと目盛りを冷風にしてから渡してきた。

たかが髪を乾かすことではあるが、それは心が乾いている人間にはできない所業である。

心からの優しさ、それに触れることができるのは滅多にないだろう。

 

ありがとうございます!と万遍の笑みを浮かべそれを受け取った私は、目盛りを温風にし、こんな優しい人がいるんだなあと思いながら電源をつけ、髪を乾かし始めた。

 

2秒で切れた。

変わらないこと

最近バスケをしていて、初心者と経験者の自分というグループなのだけど、その中でも上手くなろうとしている自分がいて、言葉で言い表せないきもちになる。

 

上手くなろう、と上手くなれなかった高校のバスケ部での思いを、たかが遊びで再熱させるのは悪いことではないけれど、今だに私は未練があるのかと悲しくなってしまう。

 

 

夜目を瞑って、様々なことを考えながら寝ようとする時もバスケのことを考えると絶対に寝れなくなってしまう。未練と同時に、考えるほど興奮してしまう自分がいるのかもしれない。

 

 

一生向きあわなければいけないのだろうな。

サンアントニオスパーズ

スパーズはレナードが戻ったところで優勝できるのだろうか。

 

あれほどの才能を育てたスパーズはやはり凄いし、そこが私の好きなところでもあるのは間違いないが、正直優勝できるかと言われるとどうも勝てるイメージが湧かないのだ。

 

それはもちろん、ウォリアーズが強すぎるだとか若手レブロンなぜか西に来るしだとか、外的要因はもちろんあるのだが。

 

オルドリッジは孤軍奮闘して頑張ってくれた昨シーズン、トニーとパウが予想以上におじいちゃん化し、若手がブレイクする事もなく、D・グリーンはシューターなのか疑いたくなるレベル、ラヴァーンやBP3は大外れだし、正直マヌ・ジノビリショーだけで終わったイメージ。

 

そこにレナードだけ戻って来たところで、優勝まで勝ち続けられるのだろうか。

スパーズに対して何が不安なのだろうか。

ポポヴィッチは引退をほのめかしているし、今後のスパーズが少し不安だ。

 

ロニーウォーカーは拾い物らしいが、サマリの1日目だけ見ると体動いてない感が凄かった、なんとも言えないが今後に期待といきましょう。

ルディとベリネッリは契約ありがとう。キングスでチームメイトだったんだっけな。

ベリネリお帰り、本当に嬉しい。

 

だらだら書き。

怖さと夜と。

私は夜寝るとき、灯りを真っ暗にして寝る人間である。

むしろそうしないと寝れないほどだ。

 

明るくして寝る人の話を聞くと、その理由の一つは闇への「恐怖」だと言う。

 

明るいと寝れないとは動物としてなんという傲慢だろうか、とさえ思ったりもする。

 

しかし昨日の私は、夜中の2時に読んでいた宮部みゆき荒神のせいで、その傲慢さに身を委ねることになったのである。

 

絵があるわけでもなく、ただの言葉だけで人を恐怖させる美しさに、感動と恐怖を抱えて眠った。

 

 

わらび餅。

後輩にわらび餅をもらった。

 

京都宇治、と控えめにかつ力強く書かれているその箱はそれだけで高貴な感じがしてしまう。京都という文字は魔法だとすら思う。

 

そしてこの美味しそうなわらび餅を、自分でなく彼女と一緒に食べたいな、と瞬時に思った。

後輩には悪いので「冷やして食べるわ〜」とか言いながら、その場で食べずに持ち帰り食べようと思う。冷蔵庫で冷やしておこう。

 

 

思えばこう思えることに、自分で自分が不思議になる。こう思えることとは、何かを貰ったら誰かと食べたい、共有したいと思えるようになっていることだ。

私は仲の良い友達は少ないし、家族も仕方なく寂しい家庭だったので、何かをもらって共有する、という考えや気持ちはあまり持たずに生きてきた。

というか私自身あまり優しくないのだろうな。悲しい人間であることは疑いようもない。

 

そんな私が、物をもらった瞬間に誰かと、特別な存在であるとはいえ、共有したい、といとも簡単に思えることに本当に不思議になる。まして冷蔵庫に入れて冷やしたら美味しいだろうな、という思いやりすら湧いている。

 

彼女の優しさは、どこまでも私を優しくする。

 

ここ最近本を読む機会が増えた。

東京に就活続きで、最初は酔いなど怖いと思っていても3回も乗れば慣れたもので、みんな静かだし、本当に捗る。

 

江國香織さんが好きで何冊も読んでいる、男にしては珍しいかもしれない。

柔らかい語り口で、複雑な言葉を使わず、糸を紡ぐような美しさが好き。

 

江國香織さんの小説に出てくる女性は、江國香織さん自身なんだなと何冊か読んだ後で気づき、それだから美しいのかもしれない、と思った。

閉じていて、誰も傷つけることができない。泣く大人、より。